2016.11.25

広告換算で年間3000万円超えも! スキマ狙いで地道に積み上げるPRの極意

株式会社ミクPR/代表 木本美紅

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株式会社ミクPR 代表 木本 美紅

<経歴>

2006年上京後、ベンチャー企業の広報部立ち上げを経験後、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 副社長室広報、兼、ネット事業を運営をする。

TSUTAYA.com(現、株式会社TSUTAYA)の広報を担当。2014年に株式会社ミクPRを設立。現在、企業広報委託事業、企業広報育成業務をメインに活動。企業広報の立上げからIPO前までの広報サポートを得意とする。

また日々、記者の方を招いた勉強会を多数実施。支援先企業は約50社にのぼる。IT媒体から大手新聞、大手ビジネス媒体、テレビへの露出まで、業界を問わずにPRを続けることで、記者の方に頼られるメディアリレーションを強みに置く。

<企業情報>

株式会社ミクPR 

東京都目黒区中央町1-3-13

ホームページ http://www.mikupr.co.jp

Facebook ページ fb.me/mikupon0828

 

【自分のメリットだけで人と付き合わない】

現在、ミクPRがどのような活動をしているのか教えてください。

 広報業務の受託や、企業の広報室の立ち上げ・育成業務を行っています。規模が小さい企業や歴史の浅い企業の場合、人事や総務の方が広報も兼任する形が多いんです。「広報って何をすればいいの?」と右も左もわからないところから、一緒に広報戦略を立ち上げ、事業を回すお手伝いをするのが主な業務内容です。  会社の経営戦略に基づいて、経営者がどんな目標を描いているのかを認識し、そのために必要な広報戦略を構築していきます。

 ただ広報を委託していただくよりも、一緒に広報室を立ち上げて行くほうが、社内にノウハウとリソースが残るので、企業にとってはメリットが大きいんです。そのため、現在は広報室立ち上げと育成業務に力を入れています。

そもそも、広報とはどのような仕事なのでしょうか。

お金を払って、こちらの好きな内容を宣伝するのが広告です。広報は、情報を発信することで、新聞やテレビ、雑誌などに記事を掲載してもらい、従業員や株主、消費者に活動内容を知ってもらうのが主な仕事です。広告と違って、記事はあくまで第三者からの評価。お金を出せば取材してもらえるわけではないし、こちらの望むことを載せてもらえるとは限りません。長期に渡って、媒体との関係づくりをしていくのがポイントです。

たとえば、具体的にはどのような戦略を立てるのでしょうか。

現在PRを担当している会社のなかに、幹部の人材育成に特化したコンサルティング会社があります。このケースでの目標は、会社やサービス自体の認知度を上げることで、ターゲットは経営者や役員、人事部の人たちです。そういった方々が多く読んでいるビジネス媒体に取り上げてもらい、情報を拡散していくことで、認知度を上げていくんです。

 そのためには、コンサルティングを行った会社からのフィードバックや、経営理念を掲載した社史など、資料を持って媒体の編集部にお邪魔して、「この会社は人材育成について詳しい」という情報を発信し続けます。それを続けていくうちに、媒体側から「人材育成についての識者」という形で取材をしてもらことにつながるんです。いまでは、日経新聞、日経ビジネス、ダイヤモンド、プレジデントなどの媒体から定期的に取材の問い合わせをいただくようになりました。

 コンサルティングだけでなく、ITやファッション、不動産など、様々な業種の広報を担当した経験がありますが、どの業界でも基本的にやるべきことは同じです。こちらがどのような情報を出せるのか、社内の資源を分析して、その情報を活かすための戦略を練るのが重要なんです。

取材をしてもらうために、工夫していることはありますか?

 自分のメリットだけで人と付き合わないのが重要です。例えば、担当している会社に得がない場合でも、いつでも取材に協力するようにしています。仕事柄、記者・編集さんから、急な紹介のお願いを受けることも多いんです。「退職後に在宅勤務をしている40代の人を知りませんか? 明日までにお願いしたいのですが…」と、いった感じで。担当企業のPRとは全然関係ないんですけど、全力で知り合いを当たってみるんです。

そうやって、「木本に聞けば、知り合いが多いから、取材協力者をさがしやすい」というイメージを持ってもらえれば、いろんな問い合わせが来ますよね。そのなかには私が担当する会社の分野の企画もあるので、記事掲載につながることもあるんですよ。

【スキマを狙って3000万円分の露出】

広報の仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。

 以前勤めていたベンチャー企業で、秘書と兼任で広報部の立ち上げを担当させてもらったことですね。最初は本当に何もわからなかったので、プレスリリースを書くのにまるまる一ヶ月かかっちゃったこともあって。社内の空気も「どこにも掲載されないのに、あいつは何やってるんだ?」って批判的で、肩身が狭い。秘書と兼任じゃなかったら、クビになってたんじゃないかな…ってくらい何もできなかったんです。

 社内外のいろんな方から勉強させてもらってるうちに、ある媒体が主催する「革新ビジネスアワード」というビジネスコンテストを紹介していただいたのが転機でした。そのコンテストに向けて、社内でもの情報をまとめてもらって、担当者に自社製品をアピールして。最終選考では、約200名のイベント参加者向けにプレゼンをするんです。そこで受賞を勝ち取ったことで、ようやく誌面への掲載という形になったんです。そのときは泣いて喜びましたね。徐々に会社への問い合わせも増えて、広報という仕事のやりがいを感じた瞬間でした。

独立と企業を決心したタイミングはいつですか?

 これまでとは違う仕事を体験しておきたかったので、そのベンチャー企業のあとに、大手企業の広報部へ転職しました。中小企業と違って、大手企業は取材されることが日常です。世の中でどんなイメージを持たれているか、コントロールする必要があるんです。そのためにはリスク管理が重要で、どんな媒体の、どのコーナーでどんな見せ方になるのかなど、細かいことも確認しなければなりません。近年だと、TwitterやFacebookでの書き込みなどもチェックしますね。

 ほかにも、いろんな違いがありました。前職ではたった一人の広報部だったのに、転職先では広報部だけで10人以上の社員がいたんです。以前ならプレスリリースを書いたら直接社長に渡していたけど、会社の規模が大きいと、確認のプロセスも多い。現場から広報の上長、役員、社長…という感じで、ときには第50稿までいったあと、急に取りやめになったこともあって。長い時間かけて準備した記者会見の内容が、前日に急に変更になって大慌てで準備し直したこともありました。

 このような、中小と大手それぞれのおもしろさや大変さを味わったあとに、もっと多くの、多種多様な会社の広報に携わってみたいと思い、独立・起業することにしました。

起業を考える学生へのアドバイスをお願いします。

 起業にかぎらず、明確な目標を持った方へのアドバイスは3つあります。ひとつは、会ってみたい・話してみたい人がいたら積極的に会いにいくことです。仕事柄、媒体の編集部にお邪魔することもありますが、こちらが誠意をもって礼儀正しくアポイントをお願いすれば、面識が無くても会っていただけることが多いです。先進的なイベントに行くのもオススメです。私の場合は、マスコミが主催するイベントによく参加するんですけど、そこで知り合った人たちとは、趣味やマインドが近いので、そのあとも仲良くさせていただくことが多いですね。

2つめは、地道な積み重ねをいとわないこと。広報を依頼していただく経営者のなかには、「ワールジビネスサテライトに我が社の商品を出してください」「いつヤフートピックスに載せられますか?」と、大きすぎる目標を気軽に注文してくる人も多いんです。でも、そこに至るまでには、関係づくりや膨大な積み重ねが必要。インターネット媒体の取材から、徐々に新聞・雑誌、テレビ…。媒体や企画の大小を関係なく、いろんな方向と関係づくりをしていくことが、結果的には目標に近づくことになると思います。

3つめはスキマを狙うことですね。現在、不動産の仲介会社を担当しているのですが、やっぱり多く取材されるのは業界トップの会社なんです。でも、内容や締め切りによっては、業界トップが受けない企画もある。そういったスキマに向けてしっかり準備して、対応していくと、どんどん露出が増えるんです。この会社では、広告換算で年間3000万円を超えることもありました。常に目標に沿った準備をしておけば、スキマを見つけたときに、一気にチャンスが巡ってくるはずです。

木本さん、ありがとうございました!