2013.07.29

「たくさんの人に会う」
「たくさんの本を読む」
「たくさんの旅をする」

ライフネット生命株式会社 / 出口治明

出口さん

「たくさんの人に会う」
「たくさんの本を読む」
「たくさんの旅をする」

岩瀬さんとの出会いは、どの様なものでしたか。

 岩瀬と出会ったことよりも、投資家の谷家さんと出会ったことの方が、衝撃的でした。初めてお会いした時に、日本の生命保険業界について少し話をしたところで、谷家さんが「出口さん、保険会社を一緒につくりましょう」と言われ、私もその場で「いいですよ」と言ってしまったんです。そして、「わかりました。何が必要ですか?」と言われたので、「若くて、保険業界のことを知らない人を探して下さい」とお願いをしました。すると「出口さんにぴったりの岩瀬というハーバード経営大学院(HBS)の学生を、もう雇っています」と言われました。その後岩瀬の一時帰国時に初めて会いました。若くてプレゼンテーションが抜群に上手い素直な若者だなと思い、親子ほどの年齢差などは気になりませんでした。彼は最初エレベーターで一緒になった時に僕のことをビル清掃のおじさんだと思ったらしいですが。 

大企業を辞められる時に、不安や家族の反対はあったのでしょうか。

 何かを変えようと思った時、波紋が広がるのは、当たり前です。池に石を投げたら、波紋が広がりますよね。それと一緒で、現状に何か今までとは違うものをぶつけたら、波紋が広がります。新しいことをやる時には、一定の人数から反対されるというファクトを事前に理解していれば、不安をそこまで感じません。自信が無いという人が多いですが、それはどちらかというと知識の不足でしかないと思います。多くのことを学んでいれば、作用と反作用について理解できます。何か大きなことをしようとした時、それが、大きければ大きいほど、反発も大きいんですよ。 


知識は、どのように付ければ良いのでしょうか。

 「たくさんの人に会う」、「たくさんの本を読む」、「たくさんの旅をする」。他に賢くなる方法は、ないです。ビジネス書は、全く読む価値と思っています。そういう本は、たまたま成功した人が成功した後に書いた懐古談の類で、言うならば、後出しじゃんけんのようなものです。人間は、能力も育った環境も違いますが、本質的な思考や行動は昔から大きく変わっていません。古典や歴史を読んでヒントを得るといいと思います。これらの中には、良い人も悪い人も、成功した人も失敗した人も出てきます。ビジネスは、人間を相手にする仕事なので、人間はどういう存在なのかを理解しないと上手くいきません。古典1冊は、ビジネス書の10冊または、100冊に匹敵します。アメリカの学生は、年間400冊本を読むそうです。日本の学生は、40冊だそうです。どっちが成功するかは、明白だと思います。
 私は、本から学ぶことが多いです。歴史上の人物からロールモデルとしているのは、クビライですね。彼のどこに惹かれるかと言えば、常識を超えて、自分の頭で自由に考える能力が、傑出していたからですね。 クビライはモンゴル王朝で初めて中国風の元号を立てたことでも有名ですが、そのときに今の北京にあたる大都という首都をゼロから作り上げました。この都の建設を実質的に任されたのは、アラビア人なんです。今の日本で、東京に人が多すぎるから、別の所に首都を作るとします。その時に、ベトナム人の提案が1番良かったとします。その時に、その人に任せられると思いますか。おそらく、難しいと思います。このことからも、クビライがいかに傑出しているかが分かるでしょう。

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