- 起業したいけど資金が足りない
- 事業資金を調達する方法を知りたい
起業をする際、事業資金が足りない場合は融資か出資を受けて調達します。
しかし、事業での実績がない起業前の段階では、資金調達の選択肢が限られているのも事実です。
この記事では、起業を目指す人が利用できる事業資金の調達方法やその特徴、資金調達での注意点について解説します。
この記事でわかること
- 事業資金の調達は融資が一般的
- 起業前の融資なら新創業融資制度か制度融資がおすすめ
- 起業前に出資での調達はあまり期待できない
- クラウドファンディングは広報の役割も兼ねる
- 起業前の資金調達では事業計画書が重要
起業時の事業資金は融資か出資での調達が一般的
起業時は、まとまった額のお金が必要となります。
日本政策金融公庫の「2021年度新規開業実態調査」によると、2021年の開業資金平均額は1,177万円です。
起業する際の事業資金を、全額自己資金でまかなうのは大変ハードルが高く、資金不足で起業を諦めている人も多くいます。
実際に起業した人の約半数が、起業時の事業資金の調達や資金繰りに苦労したとの調査結果があります。
事業資金調達の方法は、融資を受ける方法と、投資を受ける方法などがあります。
そのため、起業を目指している人は自分だけでどうにかしようと考えず、さまざまな方法を知ることから始めるとよいでしょう。
起業時に事業資金を調達する方法は、大きく分けると融資か出資が一般的です。
それぞれの特徴について解説します。
融資は返済が前提となる
融資とは、金融機関などからの借り入れによる資金調達方法のことで、デッドファイナンスともいわれます。
「2021年度新規開業実態調査」によると、資金調達先で最も多いのが「金融機関等からの借り入れ」すなわち融資です。
融資のメリットとデメリットは、以下の通りです。
融資のメリット | 融資のデメリット |
---|---|
・いくら借りても経営権に影響がない ・まとまった額の資金調達が可能 | ・返済の義務がある ・利息が発生する ・審査がある |
融資を利用する場合は、返済の義務があります。
さらに、融資では利子が発生するため、借りた額よりも多くの額を返済しなくてはいけません。
審査では、起業前の事業実績がない場合では信用が低いため、金融機関によって審査が通らない可能性もあります。
融資を利用する場合は、各窓口の金利や審査の難易度などを考慮し、自分に合った金融機関を選択する必要があるでしょう。
出資は将来の可能性への投資
出資とは、企業や個人が会社の成長を期待して資金を提供する方法で、エクイティファイナンスともいわれます。
出資のメリットとデメリットは、以下の通りです。
出資のメリット | 出資のデメリット |
---|---|
・返済が不要 ・経営のアドバイスをもらえる可能性がある | ・起業時は出資を受けにくい ・出資比率によって経営権に影響が出る ・配当金が出資額を上回る可能性がある |
出資は会社が株式を発行し、事業の将来に期待した投資家が、株式を購入するかたちで出資する流れが一般的です。
そのため、出資で事業資金を調達する場合は、返済の必要がありません。
その代わり、株式を購入した株主には、株式の数に応じて議決権が与えられます。
議決権を多く持つ投資家がいれば、会社の意思決定に影響を及ぼし、自由な経営が難しくなるでしょう。
出資は返済がいらない大きなメリットがある一方で、経営権を握られる恐れがあるなど特性を理解する必要があります。
融資で調達する方法とその特徴
融資で事業資金を調達する場合は、公的金融機関か民間金融機関を利用します。
公的金融機関には日本政策金融公庫などがあり、民間金融機関よりも金利が低い傾向です。
民間金融機関には地方銀行や消費者金融などがあり、審査の難易度や金利、融資スピードがそれぞれ異なります。
それでは、実際に融資で事業資金を調達する方法や各金融機関の特徴について解説します。
起業時の融資は日本政策金融公庫か制度融資の利用がおすすめ
起業前は事業実績がないため信用を得にくく、民間金融機関からの融資は困難です。
そのため、起業前の融資は、公的金融機関の利用が適しています。
具体的には、日本政策金融公庫または、自治体・金融機関・信用保証協会連携の「制度融資」です。
どちらも利益を追求せず、起業や開業する人に向けたものであるため、まずはどちらかに相談するとよいでしょう。
起業時に日本政策金融公庫からの融資を利用する場合は、新創業融資制度か新規開業資金を利用できます。
ちなみに、日本政策金融公庫の審査にかかる平均日数は2週間程度です。
それでは、新創業融資制度と新規開業資金の特徴を紹介していきます。
新創業融資制度の特徴は、以下の通りです。
対象者 | ・新たに事業を始める人 ・事業開始後税務申告を2期終えていない人 |
---|---|
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
基準利率 | 年2.30~3.35 ※返済期間や担保の有無により上記とは異なる利率が適用となる場合あり |
担保・保証人 | 原則不要 |
その他要件 | 利用するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。 ・創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できる ・現在の企業に継続して6年以上勤めている人 ・現在の企業と同じ業種に通算6年以上勤めている人 |
新規開業資金の特徴は、以下の通りです。
対象者 | ・新たに事業を始める人 ・事業開始後おおむね7年以内の人 |
---|---|
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
基準金利 | 担保を提供する場合、年1.05~2.70 ※特定の要件を満たすと優遇金利が適用 |
担保・保証人 | 要相談 |
新規開業資金は、一定の要件を満たすと優遇金利が適用されます。
要件には、35歳未満または55歳以上の人や女性など、さまざまな項目が定められています。
そのため、日本政策金融公庫での融資を検討している場合は、事前にWebサイトで自分が適用となる金利を確認するとよいでしょう。
次に、「制度融資」について解説していきます。
制度融資とは、自治体・金融機関・信用保証協会3つの機関が連携して実施する融資です。
個人事業主や中小企業の円滑な資金調達を可能とし、地方自治体が起業や創業を促進する目的があります。
制度融資は、信用保証協会が債務保証しているため審査が通りやすく、自治体が貸付原資の一部負担をしているため低金利です。
そのため、起業時の資金調達方法としてメリットが多い融資です。
一方で、3つの機関が関わるため、他の融資よりも申し込みから着金までの時間がかかるデメリットがあります。
全国各地の信用保証協会や指定の銀行によって審査にかかる期間は異なるため、事前に目安の期間を確認しておくと安心です。
制度融資を利用する場合は、各自治体によって利用条件や対象者が異なるため、まずは自治体へ相談してみましょう。
金融機関の融資はハードルが高い
起業前や起業直後の資金調達では、大手銀行からの融資は非常に難易度が高いです。
事業実績がなく信用が低い段階では、無理と思っていいでしょう。
地域密着の地方銀行や地域の繁栄を目的としている信用金庫は、大手銀行よりも融資してもらえる可能性があります。
しかし、金融機関からの融資は、事業実績の確認ができない起業前の資金調達としてはハードルが高くて不向きな融資方法です。
そのため、融資で事業資金の調達を考える場合は、まずは日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資を検討しましょう。
消費者金融は金利が高いため慎重に検討
アコムやプロミスなど多くの消費者金融では、ビジネス向けのローンを提供しています。
他にも、目的を問わないフリーローンなどもあり、利用を検討する人も多いでしょう。
しかし、消費者金融のローンは金利が高く、借入可能額も他と比べると低く設定されています。
そのため、事業資金としての長期的な借り入れは、できれば避けた方が無難です。
一方で消費者金融は、審査スピードが早く審査の難易度も銀行に比べ低いため、どうしても必要な場合に検討するとよいでしょう。
早急にお金が必要になったときや、少額の借り入れをする際には消費者金融のカードローンがあると便利です。
出資で調達する方法とその特徴
出資されたお金は返済の必要がないため、今後の資金繰りに大きなメリットがあります。
出資は、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルが、事業の成功を期待して出してくれるお金です。
そのため、出資で資金調達をしたい場合は、まず事業に興味を持ってもらうのが重要です。
出資してくれる人や組織によって、アプローチの仕方や注意点が異なるため、それぞれ詳しく解説していきます。
エンジェル投資家は創業資金を支援してくれる
エンジェル投資家からの出資は事業資金として有効です。
エンジェル投資家とは、起業して間もない企業に対して出資を行う個人投資家のことで、経営者など起業成功の経験者が多いです。
そのため、投資するだけではなく、自分の経験や人脈を活かして起業をサポートしてくれるケースもあります。
しかし、エンジェル投資家と出会える確率は非常に低いため、誰でも資金調達できるものではありません。
エンジェル投資家と出会うためには、起業家と投資家のイベントなどに参加し、人脈形成を図る必要があるでしょう。
他にも、「この企業を応援したい」と思ってもらうことも大切です。
そのためには、今後の事業計画を明確にし、投資家に興味を持ってもらうためのアプローチがかかせません。
ベンチャーキャピタルは上場を目指す企業を支援する
出資を受けて資金調達する方法として、ベンチャーキャピタルからの出資があります。
ベンチャーキャピタルとは、成長率の高い企業をターゲットとして投資を行う会社のことです。
そのため、大きな発展が難しい小さい会社の場合は、ベンチャーキャピタルからの出資は期待できません。
ベンチャーキャピタルは、企業が未上場のときに株を買い、上場後にその株を売却し利益を得ています。
利益を大きくするために、ベンチャーキャピタルは経営のコンサルティングを行うのが一般的です。
ベンチャーキャピタルからの出資を受けたい場合は、自らベンチャーキャピタルへアプローチする必要があります。
直接ベンチャーキャピタルへ問い合わせの実施や、知り合いからの紹介などが有効的です。
その他の事業資金調達方法とその特徴
起業時の事業資金の調達は「融資」か「出資」が一般的ですが、それ以外の方法も存在します。
融資と出資、どちらの方法もしっくりこない場合は、それ以外の方法で資金調達を検討しましょう。
それでは、融資と出資以外の資金調達方法について解説していきます。
クラウドファンディングは広報の役割も兼ねる
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて、多くの人から少額ずつ資金を集める方法です。
近年では、資金調達にクラウドファンディングを利用する人も増えています。
クラウドファンディングを利用するメリットとデメリットは、以下の通りです。
クラウドファンディングのメリット | クラウドファンディングのデメリット |
---|---|
・どんな事業でも資金調達できる可能性がある ・宣伝効果がある | ・資金が集まるとは限らない ・第三者にアイデアが盗まれる可能性がある |
クラウドファンディングは、リターンのあり方やプロジェクトの実施方法により、さまざまなタイプに分類されます。
クラウドファンディングのタイプは、大きく分けると以下の3つです。
- 購入型:リターンとして物やサービスが発生する
- 寄付型:基本的にリターンは発生しない。お礼状や活動報告を行うケースが多い
- 金融型(貸付型、ファンド型、株式型):金銭的なリターンが発生する
クラウドファンディングの実施方法は、以下の2つに分類されます。
- All-or-Nothing型:目標金額達成でプロジェクト成立
- All-In型:目標金額に達しなくてもプロジェクト成立
クラウドファンディングで資金を調達する場合は、自分に合ったタイプ、実施方法を見極める必要があります。
クラウドファンディングでの資金調達を成功させるコツは「このプロジェクトを応援したい」と思ってもらうことです。
そのため、プロジェクトの掲載ページはアプローチの場と考えて、商品やサービスを紹介しましょう。
事前に、SNSやブログなどで情報を発信するのもおすすめです。
ビジネスコンテストは知名度向上のためにも試す価値あり
ビジネスコンテストとは、ビジネスプランやビジネスアイデアを競うコンテストです。
毎年数多くのコンテストが開催され、入賞者には起業に向けた支援や賞金などが授与されます。
ビジネスコンテストに挑戦するメリットとデメリットは、以下の通りです。
ビジネスコンテストのメリット | ビジネスコンテストのデメリット |
---|---|
・入賞すると賞金などがもらえる ・会社や商品、サービスをアピールできる ・人脈形成に役立つ ・的確なアドバイスをもらえる | ・応募条件が合わないと参加できない ・発表したアイデアを盗まれる可能性がある |
ビジネスコンテストでは、主催者や協賛企業など数多くの経営者や有識者が関わっています。
提案したプランやアイデアなどに関しては、有識者や経営者などからのフィードバックを得られます。
入賞が叶わなくても、強い印象を与えることによって、次につながる可能性も高いです。
コンテストによっては、主催者や協賛企業の担当者と交流できる場合もあるため、人脈形成に役立つでしょう。
そのため、入賞せず資金調達ができなかったとしても、ビジネスコンテストに参加するメリットは大きいです。
自分に適した資金調達方法はなにか
事業資金の調達はさまざまな方法がありますが、メリットだけの資金調達方法はありません。
調達方法によって、今後の資金繰りにも影響を及ぼすため、自分に合った調達方法の見極めが重要です。
自分に適した資金調達を選択するポイントは、以下の2つです。
- 事業計画と返済計画に無理はないかを考慮
- 実績がない場合の融資は日本政策金融公庫が最適
起業時にはまとまった額の資金が必要なため、後悔のない資金調達方法を選択しましょう。
それでは、1つずつ解説していきます。
事業計画と返済計画に無理はないかを考慮
自分に適した資金調達方法を知るためには、事業計画と返済計画に無理はないかを判断する必要があります。
融資で資金調達する場合は、まずは起業の準備金やその後の運転資金を把握しましょう。
そのうえで、自己資金はいくら用意できるか、起業にかかるお金はいくら足りないのかを明確にします。
足りない分を融資でまかなう場合は、毎月の返済額、返済期間に無理はないかを判断しなくてはいけません。
無理のない毎月の返済額が把握できていると、無理のない借入額の判断が容易となります。
無理のない借入額で資金が足りない場合は、もう少し自己資金を増やしてから起業を目指した方が賢明です。
または、融資ではなく、出資やクラウドファンディングなど別の方法での資金調達が必要となります。
事業計画と返済計画に無理がなければ融資で資金調達し、無理があるようなときは融資以外の資金調達方法を検討しましょう。
実績がない場合の融資は日本政策金融公庫が最適
融資で資金調達する場合は、起業前であれば日本政策金融公庫が適しています。
本記事でも紹介した通り、日本政策金融公庫における起業時の融資は、利益を追求せず起業を支援するものです。
そのため、しっかりとした事前準備によって、実績がない起業前でもまとまった額の融資でも審査を通過できます。
他にも、自治体の融資制度も利益を追求せず起業を支援するものである点も、おすすめの理由です。
しかし、融資制度は3つの機関が提携して実施するため、審査期間が長い傾向にあります。
スピーディーに起業準備を進めたい人は、日本政策金融公庫が最適です。
一方で期間に余裕があり、地方銀行や信用金庫などと関係を築きたい場合は、制度融資を検討するとよいでしょう。
起業時に事業資金調達する際やるべきこと
起業時の事業資金調達は、起業後の資金繰りに大きな影響を与えます。
そのため、事業資金の調達は、用意周到な準備が大切です。
起業時に事業資金調達する際にやるべきことは、以下の2つです。
- 自己資金をどれくらい用意できるか整理する
- 資金調達では事業計画書が重要
それでは、1つずつ解説していきます。
自己資金をどれくらい用意できるか整理する
事業資金を調達する前に、まずは自己資金をどれくらい用意できるか整理しましょう。
融資や出資など、どの方法で資金調達するにしても、いくら用意できていくら足りないのかを明確にしなくてはいけません。
融資で資金調達する際は、通帳の原本で自己資金の確認が行われます。
起業時の融資では、自己資金が多ければ多いほど審査が通りやすいのは事実です。
一方で自己資金が全くない場合は、融資自体が難しく、希望の額を借り入れできない可能性があります。
ちなみに、自己資金とは、自分で所有している資金のことです。
そのため、預貯金だけではなく、株券や不動産など保有している資産を売却してできた資金も認められます。
しかし、自己資金として認められるのは、出所が明確な現金や預貯金のみです。
そのため、自宅で保管しているタンス貯金や、一度に多額な資金が振り込まれた預貯金など出所が不明瞭なものは自己資金として認められません。
融資で資金調達したい場合は、毎月コツコツと貯金した通帳が最も印象がよいものとなります。
ちなみに「2021年度新規開業実態調査」によると、起業時の事業資金に占める自己資金割合の平均は3割前後です。
起業時の自己資金額に決まりはありませんが、開業資金の3〜5割ほど準備できると、今後の資金繰りに余裕を持てるでしょう。
預貯金やその他の資産をすべて事業資金としてしまうと、軌道に乗るまでの生活が苦しくなるため、やはりバランスが大切です。
資金調達では事業計画書が重要
起業前の事業資金調達では、事業計画書がすべてを決めるといっても過言ではありません。
事業計画書とは、事業内容や戦略、収支見込みなどを記載した書類です。
事業実績がないタイミングでの出資や融資は、事業計画書をもとに判断します。
サービスや商品の説明、収益見込み、課題や目標など誰が見ても分かりやすい文章で作成するのがポイントです。
事業計画書には、収支見込みや必要な費用などお金に関する部分は、具体的な数字を入れると説得力が向上します。
資金調達をスムーズに行うためにも、事業計画書の作成は非常に重要です。
近年は、インターネット上にさまざまなテンプレートがあります。
書き方に悩んだときは、テンプレートを利用したり参考にしたりするとよいでしょう。
提出先によっては指定のテンプレートが用意されている場合もあります。
指定されているときは、指定のテンプレートを使用し作成する必要があります。
事業資金を調達する際の注意点
起業時の事業資金調達には、注意すべき点が存在します。
注意点は、以下の6つです。
- 補助金や助成金をあてにしない
- 事業実績がない場合の融資は選択肢が限られている
- すべて融資でまかなうのはリスクが大きい
- 入金までの時間とコストも確認する
- 事業を維持するためには運転資金も必要
- 忘れてはいけない生活費
それでは、1つずつ解説していきます。
補助金や助成金をあてにしない
補助金や助成金は返済の必要がないため、申請できる制度があれば積極的に申請した方がよいものです。
しかし、補助金や助成金は不正受給や詐欺に悪用されることも多いため、審査に時間を要します。
さらに、補助金や助成金は、後払いが一般的です。
必要なときにはお金が入らず、後から支給されるため、起業時の準備金としてはあてにしない方がよいでしょう。
事業実績がない場合の融資は選択肢が限られている
事業実績がない起業前は、事業資金の調達方法が限られています。
融資は返済能力により融資額や融資期間が決められるため、銀行からの借り入れは厳しいでしょう。
そのため、起業前の融資であれば、日本政策金融公庫か自治体の制度融資のほぼ2択です。
出資やクラウドファンディングで資金調達が困難な場合は、限られた選択肢の中から調達しなくてはいけません。
すべて融資でまかなうのはリスクが大きい
さまざまな方法で事業資金を調達できるとはいえ、起業時の事業資金をすべて融資でまかなうのは危険です。
起業時には、まとまった額の資金が必要なうえ、起業後もコストは発生します。
そのため、起業時はある程度の自己資金を用意しなくてはいけません。
そもそも、自己資金がない状態では、まとまった額の借り入れは難しいでしょう。
軌道に乗るまでの期間は、返済と運転資金が必要なため、全くお金がない状態で事業を始めるのはリスクが大きいです。
事業を始める場合は、ある程度自己資金を貯めて、返済に無理のない額を借り入れる必要があります。
入金までの時間とコストも確認する
資金の調達方法によって、入金にかかる時間やコストはさまざまです。
融資であれば、必ず審査には時間がかかります。
他にも、さまざまな融資条件を要する場合があるため、誰でもすぐに現金を手にできるわけではありません。
出資の場合も、力を貸してくれる投資家とすぐに出会うのは難易度が高いでしょう。
そのため、融資・出資・その他の方法どれを選ぶにしても、入金までの時間やコストを把握しておく必要があります。
事業を維持するためには運転資金も必要
起業した後も、人件費や仕入代金などさまざまなコストがかかります。
事業が軌道に乗るまでは、収入が安定しないため、収入よりも支出が多くなる場合が多いです。
そのため、事業を始める際には、起業準備にかかるお金だけではなく、起業後の運転資金も確保しておく必要があります。
起業する業種によって、毎月かかる費用は異なります。
自分の会社は毎月最低でもいくらかかるかを計算し、軌道に乗るまでの見込みの期間についてのリサーチが大切です。
起業時は運転資金も確保しておくと、事業が軌道に乗るまでの期間を乗り切れます。
忘れてはいけない生活費
起業時は、会社のことで頭がいっぱいになる人も多いでしょう。
しかし、起業準備期間や起業後にも常に、食費や家賃など生きていくうえでの生活費が必要です。
そのため、預貯金を全額自己資金としてはいけません。
もちろん、事業資金をできるだけ自己資金でまかなうと、今後の資金繰りは楽になります。
しかし、生活が苦しくなってしまっては意味がありません。
毎月かかる車や家などの個人的なローンや食費、水道光熱費などは最低でも3ヶ月分程を確保しておくとよいでしょう。